「セックスや性的なことは合意の上で行う」というのは現代人は当たり前のこととして知っているはずです。
ですが、なぜ、不同意性交のニュースを耳にすることが多く、被害者と出会うことが多いのでしょうか?
今回は「合意があったか、なかったか?」という起こりがちなすれ違いの問題をなくすためにどうすれば良いかを中心に考えていきます。
セックスなどの性的な行為はパートナーシップにおける非常に親密でデリケートで重要なことです。
これが合意の上で行われない場合、大きな問題を引き起こす可能性があります。セックスにおける同意の重要性、同意が得られていない場合に生じる問題、そして同意の食い違いがなぜ起こるのかについて探ります。
明らかな性的暴行など悪意のある行為でなくても、男女共、加害者や被害者になってしまう場合があるのです。
思い込みや勘違いは凄く危険!
「何となく良い雰囲気だったから」「その場の雰囲気で」「言葉での確認はなかったが相手も望んでいるように見えた」などの理由で、明確な同意の確認をせずに性的なことを行うことはあります。
受け身の側の男女も「断れない状況だった」「拒否するのは気が引けて…」などというパターンもあります。
夫婦や恋人同士など以心伝心のような関係性で自然に始まるセックスならまだしも、今、明確に同意を得ることが非常に重要になってきています。
言葉を交わすことなく性的なことをやってお互い満足して幸せだったら良いのですが、そうではなかった場合は犯罪になりかねません。
同意していたと思っていた相手が実は同意していなかった…という状況は避けたいものです!
セックスや性的なことは同意が必要な理由 3つ
1、同意がない行為は信頼を大きく失う
どちらかが嫌がる行為を強いることは、相手の意志や感情を無視することになり、相手に深刻なダメージを与えます。
相手の気持ちを尊重し、信頼関係を大切にしましょう。
2、精神的・感情的な健康を損なわせてしまう
合意のないセックスは、被害者の精神的・感情的な健康に深刻な悪影響を与えます。トラウマやストレス、不安感を引き起こし、長期的な心理的影響をもたらすことがあります。
この問題でカウンセリングに通ったり精神科に通院している男女もいます。
性的なことだけではなく、人生全体に大きな影響を与えますので絶対に避けるべきことです。
3、法律と倫理を守らないと重大な問題になる
法的にも倫理的にも、同意なしの性的行為は重大な問題となります。無理に行われたセックスは、性的暴行や強姦と見なされ、厳しい法的制裁が科せられる可能性があります。
以前よりも法律が厳しくなったこともあり、より同意を得ることの重要性が増しています。
法律が厳しくなったから同意を得ろ、というのではなく、不同意性交はそもそも相手を深く傷つけるものです。
不同意性交に関する法律がより厳しくなっている
日本の不同意性交に関する法律は、2023年7月13日に改正されました。この改正により、性犯罪に対する処罰が強化され、より明確な基準が設けられました。以下に、主なポイントをわかりやすくまとめます。
(参考 法務省 性犯罪関係の法改正等)
不同意性交等罪の新設
改正前の「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」に変更されました。この罪は、被害者が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態で行われた性交等を処罰対象とします。
同意しない意思の困難な状態
「同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態」とは、以下のような状況を指します。
・暴行や脅迫
・心神喪失や抗拒不能
・アルコールや薬物の影響
・虐待や立場による影響力
性交同意年齢の引き上げ
性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられました。これにより、16歳未満の者に対する性交等は、不同意性交等罪として処罰されます。
配偶者間の不同意性交等罪
婚姻関係の有無にかかわらず、配偶者間でも不同意性交等罪が成立することが明確化されました。
公訴時効の延長
性犯罪に関する公訴時効期間が延長されました。例えば、不同意性交等致傷罪は20年、不同意性交等罪は15年に延長されました。
これらの改正により、性犯罪の被害者がより保護されるようになり、加害者の処罰が強化されました。
同意を確保するための3つの確認方法
では、どうやって「同意を得た」と確信を持てば良いのでしょうか?
1、本音でコミュニケーションができているか確認!
相手と率直に話し合い、お互いの性に関する気持ちを確認し合うことが重要です。
「何をやりたいのか」「何をやりたくないのか」を明確にすることで、誤解を避けることができます。
2、合意に確信が持てるまで確認を繰り返す!
セックスの前、そしてその最中にも、相手の意志を確認することが必要です。
「続けてもいい?」など、相手の反応を確認しながら進めることで同意を確認できます。
どんな状況でも相手が「やめたい」と言ったら、冷静にやめるようにします。
3、身体の反応や表情も確認する!
言葉だけでなく、相手の体の反応や表情にも注意を払いましょう。無言の抵抗や不快感のサインを見逃さないことが大切です。
相手が不快感を示している反応を見せたら、すぐにやめる冷静さも大切です。
同意の食い違いが起こる3つの理由
どのような場面で「同意した」「同意してない」の意見の食い違いが起こるのか見ていきます。
1、コミュニケーション不足で勘違いをする
同意の食い違いの多くは、コミュニケーション不足から生じます。
お互いの気持ちを明確に話し合っていない場合、誤解や勘違いが生まれやすくなります。
明確に言葉で同意を確認することは重要です。
【これは同意してない!確認を怠りがちな場面の例】
・相手の部屋で2人きりになって良い雰囲気だった
・ハグをした
・記念日を2人きりで祝った
・恋人になったから
・一緒に生活しているから
2、社会的・文化的圧力で断れない状況にある
特に女性に対してセックスに対する社会的・文化的な圧力が影響を与えることがあります。
つまり、生活の中で無意識に身につけてきたセックスに対する思い込みです。
好意を抱いている相手に対しては「断るべきではない」「断ったら嫌われる」と感じたり、「相手を喜ばせるために我慢するべき」と思い込んでしまうことがあります。
これは女性だけでなく男性にも当てはまります。
3、社会的な立場が上の相手には言いたいことが言えない場合も
関係の中で一方が強い立場にある場合、もう一方は自分の意志を伝えにくくなることがあります。特に経済的依存や感情的依存が強い場合は要注意です。
本当は性的なことはやりたくないのに、関係が壊れることを恐れて正常な判断ができなくなり、抵抗できなくなる場合があります。
もし、自分が立場が上であると分かっていたら、相手がどんな心理状況にあるか冷静に想像して、強引に性的なことを行わないように慎重になりましょう。
まずは本音で話せる信頼関係を作ることが大切です。
相手が正常な判断ができない状況で性的なことをやろうとしない!
相手がお酒を飲んで酔いすぎていたり、精神的な問題を抱えていたりする場合も正常な判断ができてない場合があります。
常に相手の気持ちを思いやって、お互いが満足できる楽しい時間にしていくことが大切です。
パートナーは自分の気持ちを一方的に押し付ける物ではありません。また、そう勘違いされないようにすることも大切です。
【断りにくくなる状況】
・泥酔している、凄く眠い
・精神的な問題を抱えている
・パートナーとの好意にギャップがある
・パートナーに感情的に依存している(この人がいないと生きていけない!など)
・パートナーに経済的に依存している
・その他、パートナーの方が立場が上で、断ると不利益を被ると考えられる場合
こういったことに当てはまる相手には、本当に同意しているか慎重に確認が必要です。
まとめ
男女共に意図せず加害者にも被害者にもならないように知識をつけておきましょう。
セックスは両者の同意があって初めて健全で満足のいくものとなります。
同意の食い違いを避けるためにも、互いの意志を尊重し合い、確認し続けることが重要です。
相手への思いやりの気持ちを常に持っておけば、問題は起こらないのではないでしょうか?
( 文:真希 )